ジュネーブの有名老舗ウォッチメゾンに37年間在籍した辣腕時計師ローラン・フェリエ氏。そこを退職した彼は2009年、古い友人のフランソワ・セルヴァナン氏、機械技師である息子クリスチャンらとともに独立ウォッチメーカー、ローラン・フェリエを設立した。翌年、初の製品「ガレクラシック トゥールビヨン ダブル スパイラル」を発表し、世の時計愛好家に存在を知らしめたのである。
その生産拠点がジュネーブ郊外に位置するプラン・レ・ワット地区の一軒家であった。このアトリエは時計愛好家にとっての理想。古びた館の一室で、腕利きの時計師たちがコツコツと時計の生産に勤しんでいるさまを想像しただけで心ときめく。
事実、ローラン・フェリエの自社ムーブメントでは、基本的に同じキャリバーでも、古典的なコート・ド・ジュネーブ仕上げのバージョンと、サテンブラッシュ仕上げにルテニウム加工のモダンなバージョンの2種があり、それぞれモデルの個性に合わせて使い分けている。このようにムーブメントの仕上げでモデルの個性を際立たせる手法は、これまでほとんど見たことがない。加えて、所属する時計師全員がローテーションで作業を行い、最終的には自社の全キャリバーの組み立てを経験することで、全員があらゆるキャリバーに精通することを目指している。また、キャリバーによって個数は異なるが、2〜6個の時計を同時に組み立て、品質を比較しながら作業することで高いクォリティを保ちつつ、すべてのモデルが完成へと導かれる。さらに、すべての時計は精度と品質の向上を目指して2度組みを実施。その過程で全製品が完成まで数回にわたり時計製造責任者によるチェックを受ける。
この徹底した製造システムと、それをより高い次元で実現すべく行われた新アトリエへの移転。聞けば、ローラン・フェリエにはブランドの基本理念として、こんな言葉があるという。それが「Happy watchmakers makethe best watches(幸福な時計師こそが最高の時計を作る)」。新工房はまさに「幸福な時計師」が働く時計作りの理想の新天地なのである。
ローラン・フェリエの自社製ムーブメントは、効率に優れるナチュラル脱進機やプラチナ製マイクロローター、高精度なトゥールビヨンや古典時計に倣ったロングブレード・ラチェットシステムなど、多くの特徴を備えている。その自社製ムーブメントの特徴を解説しながら、各キャリバーを搭載する9モデルを紹介。購入時に検討しやすいガイドを参考に、最適なモデルを見極めていただきたい。
ローラン・フェリエの自動巻きムーブメント2号機で、実用に強いスイスレバー脱進機を搭載。ブリッジで保持されたオフセンターのプラチナ製マイクロローターはボールベアリングによる片方向巻き上げを採用し、高い安定性を実現。ローターには巻き上げ方向を示すシェブロン模様または3位入賞時のル・マンレース記録を彫り込み、ブリッジは職人の手作業による複数の工程を経て、面取りを丁寧に仕上げている。日付表示搭載。仕上げはコート・ド・ジュネーブ仕上げと、サテンブラッシュおよびルテニウム仕上げの2種。自動巻き。スイスレバー脱進機。部品数215個。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。直径31.60mm。厚さ4.85mm。
シンプルだが最上級の精度と審美性を兼備するCal.LF116.01。ブリッジはマイクロブラスト加工にブラックロジウム仕上げ。チラネジ付きテンプにブレゲ式ヒゲゼンマイを採用して等時性を高めている。香箱の逆転防止は巻き上げ時に心地よい感触が得られるロングブレード・ラチェットシステム。手巻きキャリバーに初のムーンフェイズを装備したCal.LF126.02は、逆戻し可能なアニュアルカレンダーも搭載する。手巻き。スイスレバー脱進機。部品数150個。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約80時間。直径31.60mm。厚さ4.35mm。Cal.LF126.02は部品数266個、25石、厚さ6.30mm、コート・ド・ジュネーブにロジウム仕上げ。パワーリザーブインジケーターをムーブメント裏面に装備。
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